ブリッジの規則質問箱 回答 中谷忠義氏 2008年5月119日
デュプリケートブリッジの規則2007年についての大船BCのスタッフからの質問に中谷忠義氏が回答を寄せてくださいました。
質問1 | 第27条 | 第27条 B項1(a) 1H-P-1H で 2Hに訂正すれば、調整なしで進行し第16条D項を適用しないという事は、 1Hオープンをした人は、ミニマムでも4Hをビッドして良いという事でしょうか? 不当な情報と正当な情報の違いは、何で線引きされているのでしょうか? |
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回答1 | 2008年5月16日 | B項1(a)に当てはまる不十分なビッドから得られる情報には第16条D項は適用されません。 従ってオープナーは取り消された1Hから得られる情報を利用することができます。 ということは、オープナーは2Hに訂正された不十分な1Hをパートナーがオープニングビッドのつもりで行ったと考えればミニマムでも4Hをビッドして構いません (シングルレイズの6−9点と考えてコールする義務はありません)。また、たとえば2NT、3C、3Dのようなトライアルビッドをすることも認められます。 一方、不十分なビッドをしたプレイヤのコール以外の発言(例:私のオープンの番だと思った)は不当な情報で第16条B項が適用されます。 しかしB項1(a)に該当する取り消された不十分なビッドはプレイヤ全員に正当な情報になります。 |
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質問 | 第27条 | 第27条 B項1(b) 例5 > west east 2NT 2H もし、ディレクターが行く前にeastが同じ意味を持つ 3Sに言い直していた時は、2Hが受け入れられなかった時、3Sが成立し、 そのまま調整なしで、進行しても良いのでしょうか? |
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回答2 | 2008年5月16日 | 第27条B項Cにあるよに2Hが受け入れられなければ言い換えた3Sが成立し、 この3SがB項1に該当すればオークションは調整なしに進行しますが、 B項2または3に該当する場合は反則者のパートナーは最後までパスになります(B項4はこのケースには当てはまりません)。 |
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質問2 | 第27条 | 同じく 例6 west north east 1S 2H 1NT 1NTが1ラウンドフォーシングとして使われている時も、2NTへの言い直しで良いのでしょうか? |
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回答3 | 2008年5月16日 | INTフォーシングはナチュラルではありませんから27条B1(a)は該当しません。 2NTへの訂正が27条B1(b)の「不十分なビッドと同じ意味を持つか、あるいはより詳細な意味を持つ」も該当しません。 従って2NTに訂正してもパートナーは最後までパスになります。 |
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質問4 | 第27条 | EのHCPが1NTレスポンスの範囲内しかないかもしれないという情報がAIであるということは、 1Sオープンしたwestは例え15点持っていてもパスをしても、良いのでしょうか? 違反行為がなかった時より良い結果を得るというのは、本当は3NTをビッドしなくてはいけないのに、 2NTで止まって、たまたま8トリックしかとれなかった・・という事でしょうか? |
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回答4 | 2008年5月16日 | 不十分なビッドをしないで2NTをビッドすれば15点のオープナーは3NTを当然ビッドするでしょう。 パスしたということは不十分なビッドの助け(1NTリスポンスの強さしかないかもしれない) で良いスコアを得たことになりますので第27条D項でスコアを3NT-1に調整することになります。 |
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質問5 | 第27条 | 同じく 例8 west north east south 1NT P 2H 3C 2S もし、トランスファーの後、2S と 2NTと 3S などを使い分けている時は、3Sへの言い直し以外は、すべて、パートナーは常にパスになるのでしょうか? |
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回答5 | 2008年5月16日 | 2Sと同じ意味(またはより詳しい意味)を持つ3の代のビッドへの言い直しも調整はありません。これ以外はパートナーは最後までパスになります。 | |
質問6 | 第27条 | 第27条D項 >不十分なビッドにより、通常到達できないスラムをビッドできたというのは、具体的にどういう場合でしょうか? |
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回答6 |
2008年5月16日 | 例えば1C-1C/2Cのようなケースでビディングスペースが節約できて普通ではできない情報交換をして6Cをビッドできた場合などを言います。 | |
質問7 | 第27条 | 相手が不十分なビッドを受け入れた時でも駄目なのでしょうか? | |
回答7 | 2008年5月16日 | 不十分なビッドが受け入れられた場合はオークションの制約やスコアの調整は一切ありません。 第27条は解釈について現在論議が沸騰中です。 世界ブリッジ連盟から解釈について公式のアナウンスがあり次第、大船BCにも連絡いたします。 |
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質問8 | 第25条 | 第25条B項ですが、"A項で認められない言い直したコールを・・・"とありますが、 "他のコールに言い直したい"とだけ言った場合もLHOに言い直しを受け入れるか どうか、聞く事ができるのでしょうか? |
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回答8 | 2008年7月4日訂正 | "他のコールに言い直したい"と反則者がいった時点でLHOに受け入れるかどうか 聞くことはできません。ディレクターは、LHOが受け入れるかどうかを決める前 に次のことを説明する義務があります: 1.不十分なビッドを受け入れた場合どうなるか 2.不十分なビッドを受け入れなかった場合、反則者が選べるオプション(コー ル)とその結果(オークションは制限なしで進むか、それとも反則者のパート ナーは最後までパスしなければならないか) LHO に説明する内容は異なりますが、手順は97年規則と全く同じです。 LHOの権利についてはEBLセミナーの解説も参照して下さい。 |
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質問9 | 第27条 | 2008年6月11日 | 1NT−1S テーブルを離れて聞いた状況は,パートナーが1Cでオープンしたと思い1Sとビッド トランスファーを使っているペアの場合2H(S5枚以上)に直せますか? その後ビッドを続ける事は出来ますか? 1C−1Sは5HCP以上を保証しますがトランスファーは0HCPでもするので27条B項1-bは当てはまりませんか? |
回答9 | ◎大船BCのサイトにヨーロッパブリッジ連盟が開催したディレクターセミナーの第27条についての説明が掲載されています。 この説明のポイントの一つは、「新しいコール(言い換えたビッド)に当てはまるすべてのハンドが古いコール(不十分なビッド)にも当てはまるか」を27条B項1-bが当てはまるか「当てはまらないか」の判断の基準にする、というものです。 質問の例で考えてみると、1NTに2H(S5枚以上)とビッドするハンドすべてで1Cに1Sとレスポンスするでしょうか? 0点の5枚スペードは1NTには2Hとレスポンスしますが、1Cにはパスします。ということは27条B項1-bは当てはまらないことになります。 |
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質問10 | 第27条 | 2008年6月11日 | NT−1H ウォリッシュリレーを使っている場合2Dに直すとCかDの強いハンドも 含まれてきますがこの場合は1Hと意味が違うと考えるのでしょうか? |
◎EBLの判断基準を適用してみましょう。1NTに2Dとレスポンスするすべてのハンドで1Cに1Hとレスポンスするでしょうか | |||
質問11 | 第27条 | 2008年6月11日 | 又,システムがスタンダードの時は,充分な最低のレベル2Sに直した時は ビッドを続ける事は出来ますか?1NTの人はサインオフと考えなければなりませんか? |
回答10 | ◎EBLセミナーのもう一つのポイントがオープナーは言い直したコールを特定の意味(例えばこの場合はサインオフ)と考えなければならないか、ということです。この例ではINTオープナーは言い直されたパートナーの2Sをサインオフと考える必要はありません。 | ||
質問12 | 第27条 | 2008年6月11日 | 16条の不当な情報が無かった時 1C−1C,1H−1Hの様な同じスートでの不十分なビットと同様に考える事は 出来ませんか? |
回答11 | ◎例に挙げられている1NT−1S/1NT−1Hのいずれのケースも「不十分なビッドが同じデノミネーションで最も低い十分なビッドに訂正され、不十分なビッドと言い換えたビッドの双方が疑問の余地なくアーティフ
ィシャルではない」という27条B1(a)に該当しないため、1C−1C,1H−1Hと同じように考えることはできません(不十分な1Cも言い直した2C/不十分な1Hも言い直した2Hはいずれもナチュラルです。一方1NT−1Hを2Hに言い直した場合、2Hはナチュラルではありません)。 新規則の27条の解釈は流動的で、EBLセミナーの解釈が今後定着するかはっきりしない状況ですが、EBLのガイドラインはわかりやすく、ディレクターの判断の大きな助けになることは確かです。 |
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